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ソーシャル・マーケティングとマネジリアル・マーケティングの違い

マーケティングの概念は、企業視点に立ったマネジリアル・マーケティングと、消費者・社会視点に立ったソーシャル・マーケティングという2つに大きく分けられます。

はじめはマネジリアル・マーケティングが主流でしたが、時代の変化とともに企業に求められる姿勢や考え方も大きく変わってきました。

そこで本記事では、マネジリアル・マーケティングとソーシャル・マーケティングの違いやその変遷についてご紹介します。

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マネジリアル・マーケティングは企業視点

マネジリアル・マーケティング(Managerial Marketing)とは、企業が営利目的で行う一般的なマーケティング活動のことです。

マネジリアルは「経営の、管理上の」という意味を持ち、経営的視点から市場調査、製品開発、広告宣伝などの活動を行います。
企業を存続させるうえで、利益を追求するマネジリアル・マーケティングは重要です。

しかし、過去にはその姿勢が増長するあまり、アメリカでは製品を買わせるための強引な販売やプロモーションが横行しました。
市場が飽和して競争が激化すると、その姿勢はさらに強まり、消費者や社会への配慮が欠けた企業が目立つようになります。

そのような活動に対して批判が集中し、コンシューマリズム(消費者主義)という考え方が台頭したことから、1970年代前半には新たにソーシャル・マーケティングが提唱されるようになりました。

ソーシャル・マーケティングは消費者・社会視点

ソーシャル・マーケティング(Social Marketing)とは、企業だけでなく消費者や社会全体の利益を求めるマーケティング活動のことです。

マネジリアル・マーケティングの対立概念としても使われます。

ソーシャル・マーケティングに含まれる2つの意味

ソーシャル・マーケティングには、大きく2つの意味が含まれています。

  1. 社会公共志向のマーケティング
  2. 非営利組織のマーケティング
1 社会公共志向のマーケティング

企業・消費者・社会の三者のニーズを満たすことを目的とするマーケティングです。

消費者だけの利益を追求する顧客志向ではなく、環境保護や人道支援など、社会全体にとって有益な活動をするというのが大きな特徴です。
のちにこの概念はCSR(企業の社会的責任)と結びつき、今日の企業活動に大きな影響を与えています。

2 非営利組織のマーケティング

政府や学校、病院、地方自治体などの非営利組織が、マーケティングの考え方を取り入れることを指します。

より良い社会の実現には、生活者のニーズを捉えたサービスの提供が不可欠です。
かつては非営利組織にマーケティングは不要という声がありましたが、現在では多くの非営利組織がマーケティングを実施しています。

ソーシャルメディア・マーケティングとの違い

TwitterやFacebookなど、SNSを活用したマーケティングが近年では盛んです。
そのような活動も、ソーシャル・マーケティングと呼ぶ人も出てきました。

しかし、本来であればこれはソーシャルメディア・マーケティング(SMM)と呼ばれるものであり、従来のソーシャル・マーケティングとは意味合いが異なるので注意しましょう。

ソーシャル・マーケティングの主な効果3つ

ソーシャル・マーケティングを実施すると、大きく3つの効果を得ることができます。

  1. 競争力の強化・他社との差別化
  2. 社員の士気向上・人材獲得
  3. 社会の啓蒙活動につながる

1 競争力の強化・他社との差別化

自社の利益だけでなく、社会全体の利益を追求する姿勢は企業価値を高めます。
消費者・生活者から共感を得られ、イメージや好感度が上がることで、他社との差別化や競争優位性を保つことができるでしょう。
また、投資家に対する訴求効果も強まります。

2 社員の士気向上・人材獲得

利益を上げるだけでなく、社会への貢献や人の役に立つという活動は、社員の士気を高める効果が期待できます。
また賃金とは別の訴求性が高まることで、人材獲得にも役立つことでしょう。

3 社会の啓蒙活動につながる

企業がソーシャル・マーケティングを行うことで、環境保全や国際貢献、教育などのメッセージを社会に発信できます。

それにより、多くの人が社会問題を考えるようになったり、活動の輪が広がったりするなどの啓蒙活動を期待できます。

ソーシャル・マーケティングの成功事例

ソーシャル・マーケティングを実施した事例として、世界的に有名なのは1983年に行われた『自由の女神修復キャンペーン』です。

カードブランドのアメリカン・エキスプレス社には、「世界で最も尊敬されるサービスブランドになる」という考え方が根底にあり、その活動の一環として歴史的建造物の修復・保全などを積極的に行なっています。

そして自由の女神の修復を行うにあたり、同社はカードを1回利用される毎に1セントを寄付するキャンペーンを立ち上げました。
この活動はアメリカだけでなく世界中で反響を呼び、3ヶ月で総額170万ドルの寄付金を集めることに成功しました。

また前年比よりも新規会員数が45%増加、カード利用額が28%増加するなど、収益面でも大きなプラスとなっています。

このように収益の一部を奉仕活動に寄付することはコーズ・リレーテッド・マーケティング(CRM)とも呼ばれ、ソーシャル・マーケティングの範疇の一つとして考えられています。

まとめ

企業の存続のために、利益を追求する顧客志向のマネジリアル・マーケティングは重要です。

しかし、社会全体の利益を求めるソーシャル・マーケティングを行う企業と比べた場合、選ばれるのはやはり後者でしょう。

消費者だけに目を向ければよいという時代はとうに過ぎ、社会的責任がある立場としての振る舞いが企業には求められています。
まずはできることからソーシャル・マーケティングを取り入れてみてはいかがでしょうか。