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SNS分析の前に知っておきたい「SNSの利用率」を調べてみた

SNS上に投稿された消費者のリアルな声・意見を収集し、分析していくことで、商品やサービス、マーケティング活動をよりよくしていこうとするSNS分析。“ビッグデータ”が注目されるようになってからますます、SNS分析への関心は高まっているようです。

しかしながら、膨大なデータを相手に分析を進めていくうちに、頭から抜け落ちてしまいがちなことがあります。それは、SNS分析の結果にはSNSユーザー以外の意見は反映されていないということ。「なにを当たり前のことを言っているんだ」と思うかもしれませんが、分析を進めていくうちに、この前提条件を忘れてしまう人は意外と多いです。

そこで今回は、SNS分析をするにあたり、知っておきたいSNSの利用率を把握するべく、オープンデータ調べてみました。SNSユーザーの構成は世間全体(または、自社のターゲット層全体)と比べてどのくらい偏っているのかをしっかり把握したうえで、分析結果を活用しましょう。

SNSの利用率が載っているデータを探してみる

インターネットサービスに関連するオープンデータといえば、総務省が公表している、情報通信白書が有名ですね。まずは情報通信白書に探しているデータ(SNSの利用率)が掲載されていないか探してみました。

「情報通信白書」をチェックしてみる

ざっと最新版の情報通信白書(本記事の投稿時点では平成30年版)を眺めてみると、「コミュニケーション手段としてのインターネット利用時間、行為者率」という結果が掲載されている箇所をみつけました。図表の二次利用も許可されている*1ようなので、該当の図表を掲載します。

※出典:「平成 30 年版情報通信白書」(総務省)
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd252510.html

これによると、2017年時点の「ソーシャルメディア」の「行為者率」は 平日37.1%休日38.1% とありました。年次推移や男女別や年齢層別の結果も記載してあって、非常に有用そうなデータです。
この調査結果をみて、「だいたい3人に1人以上の割合でソーシャルメディアを使っているのか~」と判断してしまいそうですが……

行為者率という表現や、ソーシャルメディアという表現に含まれているサービスの範囲が気になりませんか?それに、肌感覚よりも利用者が少ないように感じます。

なので次は、この調査結果についても前提条件をチェックしてみることにします。
情報通信白書に記載されていた「コミュニケーション手段としてのインターネット利用時間、行為者率」の出典元は、「平成29年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」 と記載されていましたので、出典元をたどり、調査概要を確認してみましょう。

出典元の調査概要を調べてみる

出典元を調べてみたところ、「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」調査結果報告書(PDF:3.87MB) の中に、調査概要の記載がありました。該当箇所の一部を引用します。

2 調査概要
(1) 対象者
13 歳から 69 歳までの男女 1,500 人を(性別・年齢 10 歳刻みで 2017 年 1 月住民基本台帳の実勢比例)、全国 125 地点(都市規模×地域(11 区分)により層化)、ランダムロケーションクォータサンプリングにより抽出した。
(2) 調査対象期間
平成 29 年 11 月 11 日(土)~17 日(金)
日記式調査については、連続する平日 2 日間(火曜・水曜グループと水曜・木曜グループの2グループを組成)及び休日 1 日の行動を対象者自身が記入。
(3) 調査の概要
以下の二種類の調査票を用い、上記(1)の対象者に対し、訪問留置調査で実施した。
日記式調査票
・24時間を15分ごとの時間帯に区切ったうえで、対象者がいた場所、主な生活行動、情報行動のそれぞれについて記入を求めた。
(~中略~)
アンケート調査票
対象者が、情報通信機器の保有・利用状況、主なソーシャルメディア系サービス/アプリの利用状況、情報通信メディアの利用目的、メディアへの信頼度等の項目について択一式(一部複数回答可)で記入。

この調査では、平日2日間、休日1日の日記調査と、アンケート調査を行っているようですね。
さらに「用語の定義と計算方法」の記載がありましたのでこちらも確認します。

(4) 用語の定義と計算方法
①日記式調査における用語の定義と計算方法
(~中略~)
イ) 行為者率
平日については調査日 2 日間の 1 日ごとに、ある情報行動を行った人の比率を求め、2 日間の平均をとった数値である。休日については、調査日の比率となっている。
(~中略~)
②アンケート調査における用語の定義と計算方法
○ 利用率
アンケート調査において「自分が利用している」と回答した割合である。なお、ここでいう利用率は、「普段の生活で自分が利用することがある」という意味であり、日記式調査の調査期間において実際に利用した人の割合(行為者率)とは異なる。

行為者率は日記調査を行った1日(平日の場合は2日間の平均)のうちに、実際にソーシャルメディアを使っていたかどうかを表しているようですね。
つまり、行為者率はDAU(Daily Active Users)のような数値と捉えたほうがよさそうです。
せっかくデータを調べたのに、前提条件に疑問を持たないまま、思い込みだけでデータを利用していたら誤った解釈をしてしまうところでした。

おまけに、概要を確認したことで、探していた「SNS利用率」はアンケート調査のほうで聴取していたことが判明しました。SNS利用率についてはこの調査結果を参照することにしましょう。

探していた結果はみつかりましたが、せっかくなので、「ソーシャルメディア」の定義についての記載がないか確認してみると、この行為者率を算出した設問は「ブログやウェブサイト」と別枠で「ソーシャルメディア」が聴取されていおり、以下のような注釈がありました。

日記式調査票では、Twitter、LINE、Facebook、Instagram などを例示している。

一口に「ソーシャルメディア」といっても、使う人によって、ブログ、掲示板、Q&Aサイト、チャットツール、ソーシャルゲームなどが含まれていたりいなかったりします。
定義があいまいな用語が示している範囲については、アンケート調査であれば調査票を確認するなどしてしっかりチェックしましょう。

では、いよいよSNS利用率を確認、といきたいところですが、長くなってしまったので、結果は次回の記事で紹介します。

まとめ

SNS分析の結果も、公的機関などが公表しているオープンデータも、どのような前提条件で得られたデータなのかを意識して活用しましょうというお話でした。


*1 情報通信白書平成30年版の二次利用について
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/pdf/h30riyou.pdf